遺跡から“ポイントカード”粘土版を発見──四千年越しのスタンプラリー、失効はやはり容赦なし

メソポタミア遺跡で出土した粘土版に「十杯買うと一杯無料」と楔形文字。研究者は初期経済システムの証拠と評価する一方、現代のポイント失効問題がBCから続くことに消費者団体が絶望している。

2025-07-25

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メソポタミア南部の発掘現場で、楔形文字が刻まれた粘土版が新たに見つかった。読み解くと「十杯買うと一杯無料」。紀元前1800年ごろのビール酒場が発行した“ロイヤリティカード”とみられ、研究者は「人類はビールと値引きで文明を築いた」と胸を張る。だが消費者団体は「ポイントの失効に時効なし」と肩を落とし、ポイント失効は今も昔も変らないと落胆している。

古代経済学の権威、ハンブルク・シャン大学のアミーナ・カシム教授は「農耕、文字、税制に次ぐ第四の革新がスタンプだ」と断言する。粘土版の裏面には“有効期限は満月三回分”と記されており、教授は「月の満ち欠けでシビアに管理された運用ルールは、現代の“半年で無効”より短い。すぐ切れるほど顧客を店に戻す、マーケの原点だ」と語る。ビールは文明の潤滑油でも、販促の油断は許さなかったようだ。

一方、現代の消費者団体「ポイント難民を救う会」は緊急声明で「人類は四千年かけて失効の恐怖を克服できなかった」と嘆いた。代表の壇ノ浦留美氏は「クレジット会社が『古代からの伝統』と言い出す前に、立法で保護を」と訴えるが、国会は「文化財の活用は観光資源」と前のめり。失効ビジネスは出土直後にロビー活動を完了した模様だ。

考古学者たちは早くも「粘土タブレットのデジタル復元」を公募し、IT企業は“ブロックチェーンに焼き固めたNFT粘土版”を提案。市場は「BC版フィンテック」とはしゃぐが、カシム教授は「焼くのは土か投資家の財布か」と静かに火消し。

マーケティング業界も躍動する。ある大手広告代理店は「ネオ・バビロンポイント」施策を発表。会員は粘土スタンプ（3Dプリント製）を集め、満月の夜にスマホで撮影するとビール引換クーポンが届く仕組みという。担当者は「3500年前よりUIを改善」と胸を張るが、期限はやはり満月三回分。歴史は繰り返す、ポイント失効はそのままに。

文化庁は今回の発見を「持続可能な購買意欲の歴史的証拠」とし、来春から博物館ショップでレプリカカードを販売予定。レプリカ購入十枚で本物の欠片が当たる抽選も企画している。学芸員いわく「販促が文化財になる瞬間を展示したい」。文明の皮肉がガラスケース越しにきらめく。

国際連合教育科学文化機関（UNESCO）は「世界記憶遺産の候補」として調査団派遣を検討。一部委員は「遺産登録にはポイント加算が必要か」とジョークを飛ばし、議場は失笑とスタンプ音に包まれた。議決には十の賛成が必要だが、一杯無料の誘惑が功を奏し、可決の公算が高い。

結局、粘土版が示したのは、人類が値頃感に勝てず、期限に追われ、割引を信仰してきた歴史そのものだ。砂に埋もれたスタンプ跡は、財布の傷跡よりも雄弁に「また来てね」と呼びかける。満月が新たなターンを告げる前に、私たちもポイント通帳の土埃を払う必要がありそうだ。