蕎麦配送ドローン、空で絡まり停電
新サービスの蕎麦ドローン隊が上空で麺を一気に茹でながら配送する計画中、急な強風で麺同士が絡まり巨大タワー化。電線を巻き込み市中心部が停電し、住民は“揚げ玉くらいで済んだ”と自虐した。
新サービスの蕎麦ドローン隊が上空で麺を一気に茹でながら配送する計画中、急な強風で麺同士が絡まり巨大タワー化。電線を巻き込み市中心部が停電し、住民は“揚げ玉くらいで済んだ”と自虐した。
高層ビルの谷間を縫って飛ぶ「そばエクスプレス」22機は、昼休みを狙い“湯切りゼロ秒”を売りにした。鍋を兼ねる機体内で97℃のゆで湯を沸かし、着陸と同時に食べ頃という触れ込みだったが、想定外の突風が麺を空中に引き出し、各機のローターを「箸代わり」にして絢爛たる結び目を生成。結果、市街地上空に総延長258メートルの“空飛ぶ三つ編み”が誕生した。
異物感を察知した電線は「あ、絡まれる」と悲鳴を上げる間もなく巻き付かれ、変電所は過負荷で自動遮断。中心部10万世帯が午後1時12分から最大34分間、強制的に“ローソクランチタイム”へ突入した。停電エリアの飲食店は、「うちは生パスタ派だから助かった」と塩対応で胸をなでおろした。
運営会社マルチカーボ・フーズ社は、「風速7.2mは『そよ風』扱いだった」と気象基準の甘さを認めつつ、「麺が想像以上に団結力を発揮した」と材料科学の新知見を強調。被害額については「電力会社の電卓がまだ暗闇で見えない」としてノーコメントを貫いた。
一方、市消防局は麺の高温状態を考慮し、放水ではなく“つゆ”を噴射して消火にあたる珍手を披露。濃口の摂氏80度が功を奏し、麺は柔らかさを保ったまま路面に落下。通行人は靴底を汚しながらも「昼飯代が浮いた」と前向きだった。
専門家筋は“空中調理”の法的盲点を指摘する。航空法は機内での液体加熱を禁止していないが、「鍋のフタが雲と接触した場合、上空領空権は誰のものか」という哲学に未回答。東都工科大ドローン学部の乾教授は「今回の事案は、天ぷら法が未整備だった江戸期の饂飩暴走と酷似する」と懐古し、歴史は小麦粉とともに繰り返すと説く。
市議会は早速「麺体制整備特別委」を設置。議長は「二度と同じ過ちを蒸し返さない」と宣言したが、議場に漂うかえしの香りに誘われ、休憩は平常比200%に拡大した。SNSでは早くも「#麺デミック」がトレンド入りし、世界中のカーボ好きが“次はラーメンでライトアップを”とモニターの海から煽り続けている。
停電は夕方までに全面復旧したが、市民の間では「非常食はレトルトより延びきった蕎麦」との新常識が形成。乾燥保存の概念が電線とともに揺さぶられた一日となった。
関係者のコメント
- マルチカーボ・フーズ社 茹目滝(ゆで・めたき)社長「空を鍋にしただけで炎上するとは思わなかった」
- 東都工科大 乾教授「固め指定の客が少なかったのが唯一の救い」
- 消防局ポンプ車(擬人化)「ついに俺のタンクにめんつゆを入れる日が来た」
- 風速7.2メートル氏「私のせいにされても、気圧配置は知らぬ存ぜぬ」
- 電線A号「次は冷麦でお願いしたい、熱いのは勘弁」
- 麺そのもの「結束力ランキング急上昇で照れてます」
- 停電中のOL「自撮りリングライトが本当の救世主だった」
- 市議会議長「あの日議場に漂った香りこそ民意」
- 海外ヌードル投資家「エネルギーミックスに炭水化物を」
- カーボローディング愛好会「これぞ真の“高炭水化物社会”だ!」
国際表現
俳句
- 空寒し 麺の万里を ドローン巻く
- 停電や 蕎麦の影絵が 壁に伸び
- 風強し 麺塔うねるは 雷鳴か
- 湯気立ちて 電線焦げる 昼下がり
- 麺落ちて 靴底つゆの 月曜かな
- 闇照らす カップのスマホ 青き麺
- 鈴虫も ざわめく昼の ブレーカー
- 麺固し 市議会休む 束の間よ
- 電光の 代わりに飛ぶは 麺の糸
- 窓際で 冷めた灯りの 蕎麦すすり
漢字
蕎麦無人機強風絡麺塔化電線巻市停電住民自虐揚玉
絵
🍜🚁💨🪢⚡🌆📴
擬
ブォンブォン…ギュルギュル!バチッ、パッ…シーン。ジュー、トポトポ。
SNS
- #麺デミック
- #ドローン蕎麦タワー
- 停電より炭水化物の雨
- めんつゆ放水は新時代
- #空中調理規制待ったなし
- 風速7メートルの陰謀
- 今日のランチは落下麺
- 麺が電力を食べた街
- #高炭水化物社会
- 電線さんお疲れ様でした