無音おならヨガ、スタジオがサイレント死守

「音より臭いを解放せよ」をモットーにした新感覚ヨガクラスが登場。参加者は無音放屁とともに心身を整えるが、スタジオの換気担当インストラクターは防毒マスクを着用しつつポーズをデモンストレーションしている。

2025-08-05

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「音より臭いを解放せよ」を掲げるヨガスタジオが都内に開業した。参加者は静寂の中で腸内ガスを解き放ち、心を整えるという奇抜なプログラム。一方、換気担当インストラクターは防毒マスクで呼吸を整えるしかない。

都内・中目黒の地下１階、看板には小さく「Silence is Golden, Odor is Diamond」。先週オープンした「無音おならヨガ」クラスは、その逆説的なキャッチコピー通り、静寂と芳香（？）の共存を狙う健康法だ。参加者は最新の防音ヨガマットの上で深呼吸しながら腸をマッサージ、腹式呼吸でガスの出口を開放する。

レッスン開始の合図は鈴ではなく、LEDランプの点滅。講師の合図に合わせ「吐いて、ためて、抜いて」のリズムでポーズを取る。室内はシンと静まりかえるが、空気は黙して語る。防音なのに無臭ではないという物理法則に、初心者は瞑想より先に鼻孔の鍛錬を強いられる。

「音さえなければ恥は半減する」とは創設者、元IT企業勤務の大岡真澄氏（38）の言。週５でオンライン会議中にミュート放屁を重ねた経験がサービス立ち上げの原体験という。開業一週間で予約は満席、キャンセル待ちは二カ月先。糖質制限よりガス開放が己を解放するとSNSでバズり、ハッシュタグは早くも10万投稿を突破した。

成功の陰で働くのが「換気担当インストラクター」だ。髪をまとめた美里氏（29）は、防毒マスクと工場用シロッコファンを背負い、ウォーリアⅡを実演。「静けさの守護神」を自称するが、後ろ姿はさながら携帯型脱臭装置。ファンの回転数でクラスの発酵具合が可視化され、参加者は己の成果を風速で知るという仕掛けだ。

医療界も黙っていない。腸内フローラ研究の第一人者、箕輪肛門科医院の箕輪肇院長は「放屁はガス抜き。溜めるより出す方が腸には優しいが、一度に30人分を密室で聞かずに嗅ぐ行為は、新種の耐臭トレーニング」と診断。消防署は「メタン濃度は基準内だが、ろうそくヨガとの併用は厳禁」と異分野連携で注意喚起した。

周辺テナントからは苦情も。上階の花屋は「バラの香りが勝てない」と悲鳴、隣のコーヒー店は「深煎りが浅煎りに感じる」と風味の変調を報告。一方、環境省の担当者は「芳香剤の消費減でプラごみ削減効果があるかもしれない」と前向きだ。鼻をつまむか、地球を守るか、選択は市民に委ねられる。

同スタジオは今後、「シトラスデトックス編」「納豆ニー締め付け強化編」など匂い別コースを拡充予定。大岡氏は「最後は無音ではなく無臭を目指す」と壮大な夢を掲げるが、記者の取材メモにはこうある──「静寂は守られた、あとは記者魂の嗅覚が試されるのみ」。