壁広告化する家、家賃サブスク新時代
賃料を抑える代わりに室内壁全面が動く広告ディスプレイになる『アドバウォール賃貸』が登場。居住者は「0時〜6時は自分で選べる睡眠用CM」と強がるが、猫も案件紹介を始めた。

賃料を抑える代わりに室内壁全面が動く広告ディスプレイになる『アドバウォール賃貸』が登場。居住者は「0時〜6時は自分で選べる睡眠用CM」と強がるが、猫も案件紹介を始めた。
都内で「家賃」は長らく“固定費の壁”と恐れられてきたが、その壁自体が広告で稼ぎはじめた。住空間テック企業ウォール&ウォレット社は10日、四方の壁と天井をフルHDフレキシブルOLEDで覆った賃貸住宅を公開した。入居者は昼夜を問わずデジタル看板に包まれるが、家賃は相場の半額以下。「住む広告塔」の誕生である。
仕組みは単純明快、いや単純に眩しい。センサーが居住者の視線を検知し、向いた先の壁が即座に“個人最適化”広告へ切り替わる。冷蔵庫を開ければダイエット飲料のCM、失恋ソングを流せばマッチングアプリのPR。声を荒げればストレス解消グッズが大音量でおすすめされる。「プライバシー? 広告審査員よりも我々は優しい」と開発担当は胸を張る。
料金体系は“家賃サブスク”と銘打たれ、基本プランが月3万円。さらに「広告視聴ボーナス」を稼げば最大2万円がキャッシュバックされ、理論上は“住めば住むほど黒字”になる。試住レポートでは、ヘビーユーザーが1カ月でAirPods相当のポイントを獲得したが、光刺激過多で耳より先にまぶたが閉じたという。
壁への書き込みは江戸期の辻広告、昭和の電柱貼り紙、平成の車内ビジョンと進化してきた。「令和の最終形がリビング内ビークル」と語るのは広告歴史家の屏風谷准教授。「江戸町奉行所は夜中の太鼓を取り締まったが、現代の住人は深夜のピコピコに自ら課金する」と苦笑する。自宅がビジョンに転じ、視界の“所有権”が賃貸契約に含まれる時代が到来した。
行政も目を細め──と言うより眩しがっている。国交省は来年度に「住環境光害ガイドライン」を策定予定だが、業界団体は「輝度の上限は創造性の下限」と反論。マンション管理組合からは「隣室の広告音声が壁を貫通し“二重広告”になっている」との苦情が相次ぐ。住宅ローンより早く光が返ってくるのは確かなようだ。
市場は既に派生ビジネスで沸く。ペット向けに“猫専用バナー”が売れ筋で、高所の梁に表示される魚CMのクリック率(肉球率?)は人間の3倍。SNSでは「うちの三毛が案件でカリカリを稼ぎました」と報告が散見され、インフルエンサー犬が譲渡会をプロモートする動画もバズった。「家主は誰か」という哲学的問いが、わずか3LDKの中でまた肥大している。
関係者のコメント
- 入居したIT系会社員「壁ドンの代わりに広告がドン。恋愛よりスポンサーが先に告白してくる」
- ウォール&ウォレット社CEO「住むことが最大のメディア接点。まぶたは閉じても購買意欲は閉じない」
- 国交省担当者「光と音を所管する課の“壁打ち”が本当の壁で行われています」
- 屏風谷准教授(広告史)「寺社の絵馬ですら広告だった日本にとって必然の帰結」
- 近隣住民A「隣の部屋のCMが壁越しにステレオ放送。リモコンより耳栓が必需品」
- 三毛猫ミケ(フォロワー12万)「ニャーン(タラの缶詰コードはこちら)」
- 広告審査AI「当物件の不快度は許容範囲内。あなたの現金残高を考慮すると幸福度も上昇」
- 消費者庁職員「自己責任と自己照度の区別が追いつかない」
- 睡眠学会理事「レム睡眠中に流れる“夢対応CM”は学術的未踏領域。実験台が多くて助かる」
- 電気メーター「私の数字だけがリアル。この家で一番地味だが一番稼いでいる」
国際表現
俳句
- 壁光り まぶた閉ざして 財布開く
- 夜更けでも CM踊りて 羊数え
- 賃貸や 視界貸し出し 月謝引く
- 猫タップ 魚の広告 滴りけり
- 住むほどに ポイント膨らみ 夢は眩
- OLEDの 朝焼け速し 遮光なし
- 二重壁 音も宣伝も 貫通す
- 視線追う AIの春に 恋は迷子
- 自室とは 誰のスクリーン 夏短し
- 光害と サブスク笑う 秋の月
漢字
室壁全面広告賃貸登場家賃半額猫案件
絵文字
🏠💡📺➡️💰😺📢
擬
ピカピカ、チカチカ、ポンッ! ニャァン、タップタップ、ジャラジャラ。
SNS
- #壁全部広告は草
- 眩しいけど家賃は眩しくない
- 猫の肉球クリック率99%
- #住むだけで稼げる時代
- OLED焼き付きより心の焼き付きが心配
- リモコンに“人生スキップ”ボタン求む
- 隣のCMがウチより面白い
- ステイホーム改めステイスポンサー
- #光害でも買いたい
- 家帰った瞬間に「おかえり割引」流れてきた件