孤立文化協会、「会話ゼロ特区」を都内バーに開設　ニセ大使館でパスポート即日発行

コミュ力疲れの市民が殺到。孤立文化協会は都内のバーを“ひとり国”のニセ大使館と宣言し、会話免除スタンプ付きパスポートを即日発行している。外務省は「書類上は旅行ですらない」と困惑中。

都心の雑居ビル地下に掲げられた「Embassy of Solitaria」の看板は、ネオンより暗示的に輝く。入り口では「大使」役のスタッフが声ではなくジェスチャーで案内を行い、来訪者は一列に沈黙の行進。パスポート申請書の「話しかけられたくない理由」欄には「天気の話に疲弊」「上司の無茶ブリ PTSD」など怨念まじりの筆致が並ぶが、窓口職員は一切読まずに“Communication Exempted”と大判小判のようなスタンプを押し込むだけだ。

バー内部は領事館兼免税店を名乗り、「関わらないモヒート」「気配だけラガー」といった静寂課税対象外カクテルが列挙される。注文はQRコード越しに絵文字で完結し、氷の音さえ「館内放送扱い」として課金対象外。グラスの縁に添えられた小国旗型マドラーが唯一の外交的ジェスチャーといえる。

制度設計は周到だ。旅券の有効期間は「連続30分の会話断食を達成するまで」と定められ、延長申請には追加ドリンクが必要。実質的には“沈黙を飲む”たび自国滞在日数が伸びる仕掛けで、協会理事は「静けさの可処分所得を最大化した」と胸を張る。一杯ごとに500円の“孤立税”も上乗せされるが、利用者は「声を出すより安い」とむしろ納得顔だ。

政府筋は頭を抱える。外務省は「主権なき国の査証に法的効力はない」と冷静を装うが、同省新人職員はこっそり昼休みに“亡命”を申請し、上司にバレぬまま沈黙を堪能したとの未確認情報もある。国税庁も「販売は酒類、領収書は外交文書。どの勘定科目に落とすか決めあぐねている」と声を潜めた。

一方、コミュニケーション学の権威、東都大の無言教授（講義は100％スライド配布）は「社会的孤立は健康リスクと言われるが、リスク説明も聴きたくない人は一定数いる」と分析。心理的医食住のうち“医”と“食”を省き“住”だけバーで満たす現象を「ミュート定住」と命名した。

静寂は商機だ。我が国の“コミュ疲労 GDP”は推計13兆円。協会は今後、満員電車の車両丸ごと租界化し「通勤免話特区」へ進出を検討中だという。国土の細分化が止まらぬ令和ニッポン、次に独立を宣言するのは、あなたのデスクの下かもしれない。

関係者のコメント

• 大使館風バーテンダー「外交交渉？シェイカーが語りますので」
• 外務省担当者「面倒なので相互沈黙条約でも結びたい」
• 常連会社員「ここでは上司も“既読スルー”が国際礼儀」
• グラスの氷「溶けきるまでが静かなサミット」
• レジのQRコード「ピッ、だけが私の発言権です」
• 隣席の影「存在感だけで会話料は支払い済み」
• 孤立文化協会理事長「沈黙は金、いや外貨です」
• 経済評論家「音の消費税を導入すれば財政再建も近い」
• 酔い覚まし水「私だけはフリーリフィルで聞き上手」
• 通りすがりのカナリア「静寂検知の仕事が減って困る」

国際表現

俳句

• 無言国　スタンプひと打ち　夜が熟す
• 氷跳ねて　沈黙条約　 ratified
• パスポート　声の重量　ゼログラム
• 独立旗　マドラー揺れて　音は無し
• 会話税　逃れて染みる　泡一滴
• 吐息だけ　外交特権　許可され
• 行列の　視線で交わす　国境線
• 乾杯も　グラス同士は　黙礼し
• ひとり旅　椅子が領土の　最前線
• 夜更けまで　沈黙続け　国歌なし

漢字

孤立協会暗酒場偽大使館開設市民殺到無言旅券即発行

絵文字

🤫🍸🛂📑🔇🏴‍☠️🌀

擬

シン…コト…ポン！カラ…コロ…トク…シュー…

SNS

• #無言外交デビュー
• 今夜もスタンプ収集旅
• 会話ゼロで酔える国 ⁉︎
• #ソリタリア共和国パスポート
• 外務省より早い夜の入国審査
• 沈黙こそ最大のサービス料
• ひとり言も課税対象外らしい
• 静かなバー探して三千歩
• #コミュ力疲れ救済
• 次は電車まるごと独立希望