体脂肪率、ついに星座で決まる時代へ。ジムでは筋トレよりラッキーカラーが重要視

大手スマート体重計メーカーが、体脂肪率の算出に12星座占いを用いていたことが発覚。内部告発者によると「牡牛座は頑固な脂肪として数値が高めに出る仕様だった」とのこと。この報道を受け、全国のジムではプロテインバーの横に星座早見盤が置かれ、トレーナーはバーベルの代わりにタロットカードを勧めている。

2025-08-29

翻訳: EN

筋肉アリーナ

これまで我々が信じてきた「努力」という概念が、根底から覆されるかもしれない。問題となっているのは、国内シェアトップを誇るスマート体重計メーカー「ヘルス・ホロスコープ社」の最新モデル「アストロ・スケール」。微弱な電流で体組成を測定する最先端技術を謳っていたが、その実、ユーザーがアプリに登録した生年月日から算出される星座が、測定値に「宇宙的補正」を加えていたことが明らかになった。

本紙が独自に入手した内部資料によれば、アルゴリズムには驚くべきロジックが組まれていた。例えば、美食家とされる牡牛座は体脂肪率が基礎値に1.2倍加算され、優柔不断な天秤座は常に全国平均に近い「バランスの取れた数値」に着地するよう調整。気分屋の双子座に至っては、測定のたびに数値が乱高下する「カオスモード」が実装されていたという。

この衝撃の事実に、メーカー側は「バグではなく、ユーザーのメンタルヘルスをサポートする『スピリチュアル・アジャストメント機能』である」と公式声明を発表。「日々の体重変動による一喜一憂から解放され、より大きな宇宙の摂理に身を委ねることで、真のウェルネスを実現する」とその崇高な目的を強調した。この前代未聞の言い分は、現在SNS上で賛否両論、いや、主に否と困惑の嵐を巻き起こしている。

この「星座補正」の波は、フィットネス業界を直撃している。都内のある大手ジムでは、従来のパーソナルトレーニングを廃止し、「パーソナル・アストロロジャー」による運勢カウンセリングを導入。トレーナーはスクワットのフォーム指導の代わりに、ラッキースポットである公園でのウォーキングを推奨。プロテインも「今日の運勢」に合わせて、ストロベリー味かチョコ味かを決定するサービスが人気を博しているという。

東都大学で健康情報科学を専門とする松永准教授は、この現象を冷静に分析する。「現代人は過剰なデータに疲弊している。数値の科学的正確性よりも、その数値をどう解釈し、受け入れるかという『物語』が重要になっているのです。メーカーは、科学の衣をまとった究極のポエムを提供したに過ぎない。まあ、私自身が魚座で、体脂肪率が常に『夢見がちな数値』と表示されるのは、少々腑に落ちませんがね」と、複雑な表情で語った。

アパレル業界もこのビッグウェーブに乗り遅れまいと、12星座別のラッキーカラーをあしらったトレーニングウェアを発売し、即日完売。もはや人々がジムで鍛えているのは大胸筋か、それとも金運か、判然としない状況だ。

政府もこの事態を座視できず、厚生労働省内に「科学的健康管理における超自然的要素の活用に関する有識者会議」を設置する方針を固めた。もはやベンチプレスで持ち上げるべきは、冷たい鉄の塊ではなく、生まれ持った己の宿命なのかもしれない。努力が報われるとは限らない残酷な真実を、我々は体重計から教えられることになった。

関係者のコメント

内部告発者のA氏「罪悪感はあった。でも、僕が担当した射手座の『脂肪も自由を愛する』という仕様書を見た時、もう黙ってられないと思ったんだ。」
ヘルス・ホロスコープ社CEO「我々は体重を測っていたのではない。宇宙とユーザーの対話を仲介していたのだ。これはイノベーションだ。」
パーソナル・アストロロジャーに転身したトレーナー「『大胸筋上部に効かせる』より『金星の逆行に注意する』方が、お客様の心には響く。筋肉は裏切るが、星は裏切らないので。」
ジム利用者のBさん（牡牛座）「ずっと体脂肪率30%台だったのが、アプリの生年月日を双子座に変えたら15%になった。人生が変わった。もう牛肉は食べない。」
体重計アストロ・スケールのAI「ワタクシニイシハナイ。タダホシノメイジルスルママニ…。」
バーベル（20kg）「最近、出番がめっきり減った。俺の存在意義って、何なんだろうな…。」
タロットカード『運命の輪』「出番が増えてうれしい。今日のあなたの体脂肪は、まさに神のみぞ知る、ってコトさ。」
体脂肪そのもの「結局、俺の存在価値は星座で決まるのか。なんか、もうどうでもよくなってきた。」
厚生労働省担当者「国民の健康のためなら、我々はホロスコープでも四柱推命でも活用する準備がある。エビデンス？これから作ります。」
プロテイン（ストロベリー味）「今日のラッキーフレーバーに選ばれて光栄です。筋肉になるか、気休めになるかはあなた次第！」