大人気「神隠しバター」、当選者宅に“直接出現”で物議。メーカー側は「最新の配送体験」と主張

話題の「神隠しバター」抽選キャンペーンで、当選者に商品が届かず、代わりにトーストやテレビのリモコンにバターが直接塗りつけられる珍事が発生。SNSには「朝起きたらパンが焼けていた」「ペットがバターまみれ」との報告が殺到。メーカーは「お客様の手を煩わせない、未来の食品流通です」とコメントし、さらなる混乱を招いている。

2025-10-06

翻訳: EN

日常サプライズ

大人気「神隠しバター」、当選者宅に“直接出現”で物議。メーカー側は「最新の配送体験」と主張

この前代未聞のキャンペーンを実施したのは、乳製品大手の「株式会社ユートピア・フーズ」。同社の看板商品「神隠しバター」は、希少なジャージー牛の生乳を原料とし、そのなめらかな口溶けから入手困難なことで知られる。今月開始された抽選キャンペーンでは、当選者1万名に商品が「最適な形」で届けられると告知されていたが、その実態は物理的な配送を伴わない「量子転送型ダイレクト塗布」であったことが判明した。

SNS上では「#神隠しバター被害者の会」なるハッシュタグがトレンド入り。「眼鏡のレンズにバターが出現して前が見えない」「書きかけの婚姻届がバターで滲んだ」など、阿鼻叫喚の報告が相次いでいる。一方で、「ちょうど焼いていたトーストに絶妙なタイミングで現れた。神業だ」と、この“体験”を肯定的に捉える声も少数ながら存在する。

同社のマーケティング戦略担当、佐藤エウレカ氏は当紙の取材に対し、動じることなく次のように語った。「我々は商品を届けているのではありません。感動と利便性を“マテリアライズ（物質化）”しているのです。箱を開け、包装を剥がすといった無駄なプロセスを排除し、顧客体験を極限までシームレスにした、いわば食品流通の最終形態。これは配送革命です」。同社によれば、独自の量子もつれ技術を応用し、顧客の生活パターンをAIが予測して最適な場所とタイミングでバターを分子レベルで再構成しているという。特許は現在出願中とのこと。

この奇抜な手法に対し、消費者問題に詳しい評論家の辺見悟氏は「究極のプッシュ型広告であり、一種の家庭内侵入行為だ」と厳しく批判。「顧客の同意なく私有物に直接干渉するのは、プライバシーの観点からも極めて問題が多い。利便性を盾にした企業の傲慢さが透けて見える」と警鐘を鳴らす。消費者庁も事態を重く見ており、同社に対し説明を求める方針だ。

しかし、ユートピア・フーズ社に反省の色はない。同社は今回のキャンペーンの反響（主に炎上）を「極めてポジティブなエンゲージメント」と分析しており、来期には新商品「どこでもケチャップ」「神出鬼没マヨネーズ」の展開も視野に入れているという。バターの香ばしい匂いは、今や新しい社会問題の到来を告げる狼煙となりつつある。

朝、目覚めれば枕元にバターが塗られているかもしれない。我々の日常は、企業の掲げる「顧客満足度」という名の、予測不能なサプライズに支配されようとしている。その時、我々はそれを歓迎するのか、それとも悲鳴をあげるのか。答えはまだ、バターの中だ。