大学入試センター試験、来年から「スライムの倒し方」導入。物理選択者は「ゴーレムの弱点分析」で代替可

文科省は、異世界からの帰国子女増加に対応する「真のグローバル教育」と発表。予備校はすでに対策講座を開講し、『東大合格には「伝説の剣」が必須』との見出しが躍る。保護者からは「うちの子、まだゴブリン語のヒアリングが…」と不安の声も。

2025-10-09

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大学入試センター試験、来年から「スライムの倒し方」導入。物理選択者は「ゴーレムの弱点分析」で代替可

「これは教育界の次元転移だ」。文部科学省の担当審議官は、神妙な面持ちでそう語った。昨日発表された大学入試センター試験の改革案は、あまりにも抜本的だった。来年度より、必須科目に「異世界基礎知識」が加わり、その中で「スライムの倒し方」に関する問題が出題されるという。物理選択者には「ゴーレムの弱点分析」が代替問題として用意される。

同省によれば、この改革は近年「門（ゲート）」を通じ急増する異世界からの帰国子女に配慮したもの。「多様な文化背景を持つ若者の能力を正当に評価し、真のグローバル・コンピテンシーを育成する」のが狙いだという。公表された資料には「スライムの粘性係数と効果的な打撃法に関する考察」や「ゴーレムの材質から推測される魔法耐性」といった、もはや物理学なのかファンタジーなのか判然としないサンプル問題が並ぶ。

教育現場の反応は早かった。大手予備校「駿河台セミナー」は発表からわずか3時間で「東大・京大異世界攻略コース」の開設を発表。ウェブサイトには「伝説の剣は不要！知の力でドラゴンを制す」という頼もしいキャッチコピーが躍る。一方、ライバルの「河合塾」は、VRを活用した「実戦！スライム討伐演習」をカリキュラムに導入。受講料には「練習用のひのきのぼう」のレンタル代が含まれるという。

この動きは、早くも新たな教育格差を生み出している。都内の高級住宅街では、一部の裕福な家庭が、元勇者を名乗る人物を家庭教師として高額で雇い始めているとの情報もある。「結局、親の経済力、つまりは装備の強さが子の将来を決めるのではないか」。3人の子を持つ主婦（42）は、近所のスーパーで特売の「せいすい」をカゴに入れながら、不安げに語った。

専門家の間でも意見は割れている。教育評論家の尾木ママならぬ、茂木パパ（自称）は、「知識偏重の旧態依然とした教育から、実践的な課題解決能力を問う素晴らしい試み。これで日本の若者もレベルアップする」と手放しで絶賛する。しかし、ノーベル物理学賞候補の呼び声高い、帝都大学の古畑甚三郎教授は「そもそも質量も構成元素も不明な不定形生物の撃退法を、どうやって客観的に採点するのか。私には、わからない」と首を傾げた。

文科省は「あくまで思考プロセスを重視する。高価な武具や魔法の知識は問わない」と火消しに躍起だが、保護者の不安は募るばかりだ。ある母親は「うちの子、まだゴブリン語のヒアリングもままならないのに、オーク語の長文読解なんて無理ですわ」と涙ながらに訴える。

日本の未来を担う若者たちは、ペンを剣に持ち替え、モンスターと対峙する時代を迎えるのだろうか。少子化という名のラスボスに苦しめられてきたこの国が、次なる活路を異世界に求めたのだとすれば、それは喜劇か、あるいは悲劇の序章か。確かなのは、来年の春、合格発表の掲示板前で「よっしゃ、会心の一撃！」と叫ぶ受験生の姿が見られるかもしれない、ということだけだ。

関係者のコメント

スライム（ぷるぷる） 「最近やたら叩かれるし、酸をかけられるし…生存権を主張したいです。あと、僕らって倒しても経験値1ですよ？」
文科省担当官 「これは異次元の教育改革。批判は承知の上ですが、これで日本の国際競争力もレベルアップ間違いなしです」
大手予備校カリスマ講師・高田先生 「いいか諸君！スライムの弱点は『経済学』だ！最小コストで最大効果を出す計算式を叩き込め！伝説の剣より君の頭脳が最強の武器だ！」
受験生の母親 「お隣のお子さんは『エルフの森』へ短期語学留学ですって。うちはまず、近所のダンジョンから始めさせないと…」
物理選択の受験生 「ゴーレムの重心を計算して、最小の力で転倒させる問題が出ました。物理法則が通用する相手で本当に良かった…」
ゴーレム 「弱点とか個人情報なので、試験問題にしないでほしい。プライバシーの侵害で訴える準備をしています」
伝説の剣 「最近、フリマアプリでの偽物が多くて困ります。ちゃんと鑑定書付きの私を選んでくださいね」
異世界帰国子女（元勇者） 「え、こっちの世界って『やくそう』が有料なんですか！？あと、なんでみんな同じ服（制服）着てるんですか？」
大学入試センター職員 「採点基準のマニュアルが『秘伝の書』とか呼ばれてて…。先日、誤って燃やしかけてヒヤリとしました」
ゴブリン 「我々の言語がヒアリング試験に採用されたのは光栄だが、発音が難しすぎるとの苦情は心外だ。キーキー！」