政府、会議を流行語だけにするAI導入 中身は国家機密のまま蒸発
政府はスパイ対策として、発言を自動で最新の流行語とカタカナ用語に置き換える「バズワード・セキュリティパッチ」を全会議室に適用した。導入後の議場では「それエグいシナジー」「ガチでアジェンダ感」などの声だけが飛び交い、誰も具体的な名詞を口にできない状態になったという。担当者は「機密情報の保護は万全です。そもそも内容が誰にも理解されていませんから」と胸を張った。
政府はスパイ対策として、発言を自動で最新の流行語とカタカナ用語に置き換える「バズワード・セキュリティパッチ」を全会議室に適用した。導入後の議場では「それエグいシナジー」「ガチでアジェンダ感」などの声だけが飛び交い、誰も具体的な名詞を口にできない状態になったという。担当者は「機密情報の保護は万全です。そもそも内容が誰にも理解されていませんから」と胸を張った。
同パッチはデジタル庁が開発した会議用AIで、マイクから入力された音声を即時に解析し、「予算」「防衛計画」「同盟国」といった固有名詞を「リソース感」「セキュリティグランドデザイン」「キープレイヤー」などの抽象的な言葉に置き換える。動詞や形容詞も例外ではなく、「削減する」は「チューニングする」に、「責任を取る」は「オーナーシップを感じる」に変換される仕組みだ。政府関係者は「長年の官僚文化をAIが学習した結果、自然とこうなった」と説明する。
導入初日の閣議後に公開された議事要旨は、わずか数行の日本語であったはずの内容が、「本件、ガチでエモい方向性をフルコミット」「ステークホルダーのモチベを尊重しつつ、いい感じに着地させることが重要」といった文言で数ページに膨張していた。行政法の専門家は「意味のない言葉ほど文字数が増えるという好例だ」と苦笑しつつ、「情報公開請求で開示されるのがこれだけなら、もはや憲政史料ではなくネットミームだ」と指摘する。
政府側は、安全保障上の効果を強調する。過去には職員の私物端末による音声録音が流出し問題となったが、今後盗聴されたとしても、録音には「それ、普通にバグってる空気感」「ここは一回ペンディングでリブートしてもろて」といったフレーズしか残らない想定だ。内閣官房幹部は「敵国の分析官は頭を抱えるだろう。もっとも、国内の有権者も同じ表情をしているかもしれないが」と語った。
一方で副作用も大きい。法令上、会議の記録には「議事の概要」を残すことが求められるが、概要がすべて「エグい」「ワンチャン」「アジェンダ感」で埋め尽くされた場合、将来の検証は困難を極める。野党議員は「責任追及の場で『それは当時のトレンドワードなので解釈不能』と言われたら、政治責任も流行とともに消える」と批判し、「機密保持ではなく説明責任回避パッチだ」と皮肉った。
それでも官庁街では、利用拡大を望む声が多いという。省内の若手職員からは「自分たちが普段使っている意味不明な会議用語をAIが公式に採用してくれて誇らしい」「従来は何となくごまかしていたが、これからは堂々と何を言っているのかわからないと言える」と歓迎の声が上がる。政府は来年度までに地方自治体のオンライン会議にも同パッチを開放する方針で、「日本全国の議事録を、安心安全なポエムへとアップデートする」(担当者)としている。
バズワード・セキュリティパッチは毎晩SNSのトレンドを学習し、新語を自動で取り込む。このため同じ会議を翌週に再生すると、発言が「それマジ卍」から「それは普通に刺さる」に書き換わる可能性があるという。国語学者は「百年後、歴史家がこの時代の政府文書を読むとき、原文より先に若者言葉辞典を引くことになる。結果として、もっとも完全に秘匿されるのは『事実関係』そのものだ」と嘆いた。
関係者のコメント
- デジタル庁担当者「情報漏えいリスクをゼロにする究極の方法は、そもそも誰も理解できない情報にすることだと証明できた。」
- 省庁若手職員「上司からの指示が『いい感じにして』だけになりました。前と同じですが、AIが噛んでくれたぶんだけ近代的です。」
- 与党幹部「国民に丁寧に説明する責任は果たしている。説明が丁寧すぎて中身が消えただけだ。」
- 野党議員「政府がここまで全力で何も言わない技術を磨くとは想定外だ。せめて沈黙してほしい。」
- 情報保全専門家「暗号化より強力な“意味の空洞化”方式だ。解読不能というより、そもそも暗号文が存在しない。」
- 匿名の外国情報機関職員「録音は大量にあるのに、分析班全員が『意味わからん』と降参した。これがジャパンスタイルか。」
- 議事録作成担当職員「一語一句正確に打ち込んでいるのに、完成した文書がポエムと呼ばれる理不尽。」
- バズワードAI「本システムはガチで自己進化型のナレッジプラットフォームとしてレベチに機能している認識です。」
- 日本語辞書編集者「収録候補語が一晩で百語増える。辞書編集サイドにもセキュリティパッチを当ててほしい。」
- 一般市民「ニュースで『政府はこう説明しました』と読み上げられても、何も頭に入ってこない。ある意味、心の平穏には役立っている。」
国際表現
俳句
- 機密守る 言葉は全部 霧となり
- 会議室 流行語だけ 風が鳴る
- 中身無く 情報漏えい ゼロ達成
- 議事録は ポエムに化けて 春霞
- スパイ来る 耳にはただの エモい声
- 予算決め シナジーだけが 踊り出す
- 国政も ハッシュタグ化す 秋の宵
- 流行語 去れば議論も 史料消ゆ
- バズるほど 真相遠のく 夏の雲
- 黙るより 喋って何も 伝えない
漢字
政府会議発言自動流行語変換人工知能導入 機密保護目的情報漏洩対策徹底 内容不明状態全国拡大
絵文字
🏛️🎙️🤖💬➡️🌀📊❓🔒😶
擬
ザワザワ ペラペラ カタカタ モゴモゴ パチパチ ポワンポワン フワフワ キラキラ ポチポチ シーン…
SNS
- きょうの閣議要旨マジで何も分からないけど雰囲気だけは伝わる #流行語AI
- 情報漏えいゼロどころか情報自体ゼロ説 #セキュリティパッチ
- 「それエグいシナジー」で国家戦略語らないでほしい
- 議事録が完全に社内スライドのノリになってて震える #官僚制DX
- スパイも国民も同じ顔で困惑してるの草
- 中身のない説明ほどコンプライアンス感が出る不思議 #コンプライアンス芝居
- 子どもに政治を説明しようとしても、親の方がAI語が分からない
- 数十年後の歴史教科書「この時代の資料はすべてエモい」
- 会議で具体名を出したらAIに「それガチでNGワード」と怒られたらしい
- もういっそ選挙公約も全部バズワードで自動生成してほしい気もする