米不足なのに「食べられない米」爆誕　備蓄米をNFR化する“コメDAO”の逆転商法

深刻な米不足の中、ブロックチェーン企業が政府備蓄米をトークン化し『食べられないのが新しい価値』と売り出した。購入者は実物を受け取れない代わりに、炊飯器の画面で粒が増減するメタ炊飯体験を楽しめるらしい。

2025-07-11

翻訳: EN

深刻な米不足の中、ブロックチェーン企業が政府備蓄米をトークン化し「食べられないのが新しい価値」と売り出した。購入者は実物を受け取れない代わりに、炊飯器の画面で粒が増減するメタ炊飯体験を楽しめるという。

日本列島を包むコメ欠乏の悲鳴をよそに、都内の倉庫街で鳴ったのは“シャリッ”でも“カネッ”でもなく、ブロックチェーンの電子音だった。RiceDAO社は七日、農林水産省が温度管理に悩む古米五十万トンを「Non-Feasible Rice（非可食ライス）」へ昇華。NFTならぬNFRトークンとして一粒＝0.0001円で販売を開始した。社長は壇上で「喰えない米ほど胃袋を刺激する」と豪語、栄養よりイノベーションを優先する姿勢を栄養士に怒られながら披露した。

仕組みは単純で複雑だ。購入者のスマホは自宅のIoT炊飯器と連動、ブロックチェーン上の粒数がリアルタイムでディスプレイに反映される。蓋を開ければ湯気ではなくARが立ち上がり、仮想米が“パラパラ”と装飾。給油式ストーブの残量計に似た幸福が得られるうえ、ガス代もカロリーもゼロ。「インスタ映えの白飯は光だけで炊ける時代」と若者は箸を持たずに讃美ボタンを押した。

市場は意外にも熱い。投機家は「ラーメンより伸びる」と即購入、フードロス活動家も「食べないからこそサステナブル」としたり顔だ。一方、米屋組合は「売りたいのは香り、ウチらに残ったのは皮肉のにおい」と頭を抱え、農家は「現物はカビ防止剤で眠り続け、利息を稼ぐのは仮想腹」と渋々受け入れる。株価だけがモチモチと膨らみ、胃袋には相変わらず隙間風が吹く。

政府は「備蓄米の保管費削減」としてプロジェクトを黙認したが、霞が関では“平成インボイス米騒動”の再来を危ぶむ声もある。財務官僚は「NFRは資産か餌か、課税区分は未消化」と嘆き、消費者庁は「腹痛のリスクがゼロなので苦情窓口を閉鎖できる」と胸を撫で下ろす。カロリー計算アプリ各社は「食べてもいないのに摂取ゼロ！ダイエット市場の黒船」と歓迎するなど、各方面が空腹をこじらせた笑顔で応酬する。

とはいえ飢餓線上の自治体は穏やかではない。ある被災地の首長は「見えないコメより見えるコメ」と叫び、NFRを非常食にカウントした内訳書を差し戻した。棚には千円の袋麺、クラウドには一点一銭の幻米。食卓とメタ空間の格差は、黄昏時のしゃもじより長く伸びている。

技術的挑戦は続く。RiceDAO社は次期アップデートで「Metaおこげ」を付与し、炊飯器の底にバーナー音を再生するという。さらに海外勢と組み、イタリアの余剰パスタを「Non-Boil Pasta」、ブラジルの増えすぎた豆を「Non-Feijoada Bean」へ転用する構想も漏れ聞こえる。国際連帯とは、もはや“食卓”ではなく“空想卓”で芽吹くらしい。

食える希望を食えない未来に預けるか。ある栄養士は「結局、人間はカロリーで動く」と呟き、トークンを噛んで歯を欠けさせないよう注意を促した。非可食の空腹商法は、我々の胃袋と常識を同時に揺さぶり続ける。