セレブの筋トレ汗、香水として高額転売

某高級ジムが集めたセレブ会員の汗を『努力のエッセンス』と銘打ち小瓶で販売。1mlでシャンパン並みの価格にも関わらず完売し、転売市場ではさらにプレミアム。購入者は『成功の匂い』を感じる前に財布が香ばしい焦げ臭に包まれる。

2025-07-20

翻訳: EN

都心の高級ジム「オーラ・ヴァーティカル」は13日早朝、会員ラウンジに設えたガラスケースで“汗香水”300本を披露した。ラベルには金箔で Effort Essence と刻印、容量は3ml、価格は一本12万円。多忙なセレブの滞在時間より速く売り切れ、漂ったのは汗より濃い羨望のアロマだった。

同ジムはランニングマシンの下に銀色のトラフを設置し、心拍数150超のピーク時に滴る“プレミアムドロップ”のみを自動吸引。UV滅菌後、鮮度保持のため「筋肉由来ガス」を充填したと胸を張るが、要するに「よく冷やした汗」だ。専門家は「用語が長いほど消費者の財布は短気になる」と分析する。

発売から数時間でフリマアプリ「闇市＋」には未開封品が15万円、芸能記者が使い切った空瓶すら8万円で出品。経済学者は「蒸発するほど値が上がる逆気体法則」と命名した。転売ヤーはスポイト片手に排水口に群がり、“二番搾り”を採取する姿が監視カメラに収められ、衛生面はもはや深海レベルの暗がりだ。

購入者の動機は「成功の匂いを纏いたい」が最多。しかし実際に鼻腔をくすぐるのは微量の乳酸と高度に焼けたクレジットカードの金属臭だ。香水評論家は「トップノートに自己顕示、ミドルに承認欲求、ラストに後悔が残る」と評し、都市銀行ローン担当者は「瓶が小さいほど返済期間が長い」と肩を落とした。

都保健局は「人体由来物販売はグレーゾーン」としつつ「握手券より接触が薄い」として立入検査を先送り。環境団体は「汗の再利用は節水」と思わぬ後押しを表明し、“サステナ汗ブル”認証マークの検討に入った。もはやSDGsは何でも吸収する万能芳香剤のようだ。

ジム側は次弾として「挫折の涙」霧吹きタイプを来月発売予定。「努力の塩味に挫折のミネラルをブレンドすれば完全栄養系フレグランス」と豪語する。筋肉より概念を鍛える令和のフィットネス。明日も財布の可動域だけがフルレンジで汗をかく。

関係者のコメント

広報担当者「真空瓶に詰めたのは汗と夢と請求書です」
経済学者「蒸発と高騰が同時に起こるのは量子経済以来の珍事」
香水ボトル（擬人化）「中身？気付けば見栄でいっぱいです」
使い過ぎたクレジットカード「僕の限度額より汗の方が伸びしろがある」
トレッドミル「今日も床下で金脈を受け止めています」
転売ヤー「二番搾りでも三回転すれば一番利益」
概念“成功の匂い”「実体化した瞬間、私は揮発する運命だ」
銀行ローン担当「瓶のサイズと返済年数は反比例します」
SDGsバッジ「私を付ければ大抵の矛盾は芳しく香ります」
真面目なトレーナー「汗は流すより拭く方が安いと教えてきたのですが…」

国際表現

俳句

汗一滴　値札は雲を　突き破り
苦行香る　瓶が囁く　ステータス
夢を嗅ぎ　残るのはただ　財布汗
金の蓋　開ければすでに　空気だけ
転売夜　スマホの画面　しずく跳ね
成功の　香にむせかえる　六月かな
筋繊維　きしむ音まで　高級品
SDGs　汗で彩る　緑かな
ランマシン　止めても止まぬ　煽り文
滴りて　人の虚栄を　写す鏡