配信者、プールから生放送で水道代破産

“常に濡れていると視聴率が2倍”という都市伝説を検証すべく、365日プールで配信を続けた人気ストリーマーが高額の水道代で活動停止。広告収入は波に乗らず沈没した。

2025-07-30

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人気配信者「ウェットマスターN」は昨年6月、都内マンションの屋上に家庭用プールを設置し「乾いた瞬間に離脱者が出るなら、永遠に濡れていればいい」と大胆宣言。以後、朝の筋トレも夜の雑談も波立つ水面越しに行い、フォロワーは当初10万人を突破した。だが水面下では、水道メーターがフォロワー以上の勢いで回転していた。

マンション管理会社によると、1年間の水使用量は一般家庭の約120世帯分に相当。月平均請求額は120万円、合計は1,400万円に達した。配信広告料は最高月で60万円、最低月は「水しぶきで広告が読めない」とスポンサーが離脱しゼロを記録。“水”商売は皮肉にも水道局の懐を潤す結果となった。

視聴者数も徐々に蒸発した。「毎日同じプールでは“水曜スペシャル”にならない」とコメント欄に漂う倦怠感。視聴体験の新鮮さを保つため塩素を倍増したところ、水面に白煙が立ち、機材が感電寸前とSNSで炎上。濡れていないのは広告効果だけという乾いたジョークが流行語になった。

破産申立書には「貯水タンクが人生を空にした」と記された。専門家は「浪費と浪漫の境界線を泳ぎ切れなかった典型例」と分析。インフルエンサー経済が“バズの波”を生む一方で、“漏水リスク”を背負う現実を映し出す。SNSでは「次は砂漠で節水配信を」と逆張り案が躍るが、視聴者のオアシスになる保証はない。

一方、都水道局は「泡沫スターでも料金は容赦なく泡立つ」と冷静。昨年導入したAI検針システムが“常時大量放流”を検知し、局内では“流れるだけ流させろ課金モデル”の成功事例として研修教材になったという。公共料金の水位は常に上げ潮、夢と一緒に請求書も膨れる時代である。

自己破産手続きを終えたN氏は「今後はタオルレビュー系へ転身し、乾かす喜びを伝えたい」とコメント。しかしタオルメーカー関係者は「乾くには時間がかかる」と含み笑い。配信市場は今日も波打つが、視聴者が求めるのは“濡れ場”より“うま味”かもしれない。