散歩と投薬を両立？犬専用「薬入りスニーカー」発売

愛犬が散歩をサボって薬も飲まない――そんな飼い主の悩みに応える「薬入りスニーカー・ワンステップ」が登場。靴底に埋め込まれたカプセルが着地のたびに放出され、犬は歩くほど健康になるらしいが、獣医師は「金属製ヒールで飼い主が壊れる」と警告。

2025-06-30

翻訳: EN

「歩かない、飲まない、でも吠える。」都内のペット用品メーカー「ドッグダイン」は八日、こうした"二重拒否犬"に向けた新製品「ワンステップ」を発表した。犬用スニーカーの靴底に薬剤カプセルを装填し、着地衝撃で微量放出させる構造。散歩そのものを投薬行為に転換する発想は斬新というより半ば強引だが、記者会見では柴犬モデルが軽快にランウェイを疾走し、粉薬をまき散らす様子が「粉雪のよう」と拍手を浴びた。

開発責任者によると、カプセルは錠剤を粉末化した「総合わんこサプリ」。一歩につき約0.07ミリグラムの成分が犬の足裏から吸収される設計で、二キロの散歩で処方量が完了する。靴底には耐衝撃用チタンヒールを採用し、「大型犬がコーナリングしても薬をこぼさない」と胸を張る。同社は「散歩距離と投薬量を等価交換にした世界初の"歩行換算レシピ"」と称し、早くも商標を出願中だ。

もっとも、医療サイドの視線は冷ややかだ。東京都獣医師会の大宮聴診会長は「足裏吸収は理論上可能だが、靴ごと舐めたら一歩でオーバードーズ」と指摘。さらにヒール部の金属が人間の足指へ突き刺さる事故も危惧し、「犬は健康でも飼い主が粉砕骨折では帳尻が合わない」と語る。対策として同社が提案したのは「飼い主はスチール製安全靴を着用」という力技だった。

背景には、近年増加する「ピル拒否犬」問題がある。調査会社パップデータ社によると、家庭犬の38％が処方薬を拒否し、平均三日で飼い主が挫折するという。粉薬をヨーグルトに混ぜても見破られ、錠剤をソーセージに埋めても吐き出される「犬の味覚」は年々進化。メーカー側は「もう足裏しか残っていなかった」と肩をすくめる。

一方、マーケティング部は前向きだ。発売記念キャンペーンでは「歩けば歩くほどポイントが消費される逆歩数計アプリ」を連動し、散歩不足の飼い主に自己嫌悪を促す仕組み。「罪悪感という最終薬剤を投与する」と担当者は照れ笑いした。また、高級モデルにはLEDが組み込まれ、投薬残量が虹色で光る。夜道では飼い主のプライドも同時に照らす仕掛けだ。

行政も黙っていない。消費者庁は「散歩が長過ぎて薬が切れた場合、犬が急に"ただの靴"と気づき座り込む恐れがある」として、包装に「歩き過ぎ注意」を明記するよう指導。さらに国土交通省はヒールの金属が舗装に刻む傷を「新たな都市アート」とみなし、補助金申請を検討するなど、予算獲得に盛り上がりを見せている。

専門家は「結局のところ健康管理は飼い主の責任」と口をそろえるが、愛犬家からは「責任は取るが、靴が取ってくれるならなお良し」と実に飼い主らしい声が相次ぐ。靴底で愛を量る時代は、どうやら目前だ。

関係者のコメント

柴犬モデル（４歳）「粉薬って雪みたいでテンション上がるワン」
大宮聴診会長（獣医師）「足裏より口で飲ませた方が早いと申し添えます」
金属ヒール（擬人化）「踏まれて光栄ですが、踏み返されると痛いです」
カプセル粉末君「連続放出は私の生きがい。止めるボタンはない」
開発AI「“靴底＝投薬"の等式を証明したのは私だが、責任は人間にある」
飼い主代表「犬より私の運動不足を解決してほしいが順番は譲る」
散歩道の舗装「アート扱いは照れる。補修費も一緒にどうぞ」
動物愛護団体スタッフ「薬よりまずは愛情を塗り込めと言いたい」
保険会社アクチュアリー「骨折率が跳ね上がる予感で保険料も跳ね上がります」
スニーカーひも「ほどけた瞬間、健康計画もほどけるのでよろしく」

国際表現

俳句

散歩兼薬　足裏より湧く　夏の粉
光る靴　飼い主転び　犬走る
薬雨　舗装に描く　丸い跡
ヒール鳴り　夜道を照らす　虹の量
錠剤拒む　犬の舌より　靴選ぶ
歩数ゼロ　罪悪感だけ　満タンに
骨砕け　それでも愛は　靴にあり
粉雪薬　柴の尻尾で　空に舞い
都市アート　刻む金属　散歩道
足裏薬　愛の等式　成就する