炎上する目覚ましアプリ、起床率100%

ユーザーを絶対に起こすという目覚ましアプリがリリースされた。設定時刻になるとスマホ内部の温度が急上昇し、機能説明には『睡眠もスマホも燃える覚悟で』と小さく記載。購入者は凄まじい熱気で即飛び起きるが、再ダウンロードは不可能だという。

スマホは鳴るのではなく燃える時代へ――。スタートアップ「カンフルモーニング社」は9日、目覚ましアプリ「Alarm Pyro(アラーム・パイロ)」を正式公開した。アプリは設定時刻になると端末の温度制御を解除し、バッテリーとCPUを同時にフル稼働させることで本体温度を約78℃まで急上昇させる。熱に驚いたユーザーは布団から飛び起き、ついでにスマホを水没処分するため、二度寝もスマホ依存も同時に解消される仕組みだ。

同社の実証テストでは、被験者100人中100人が設定時刻から最長2秒で覚醒。「再度寝ようとした者は、端末の溶断音によりベッドで跳ね返された」という。起床率は100%、スマホ生存率は0%。効率を最重視する現代人に向け「人生の貴重な朝を、端末の尊い犠牲で取り戻そう」とアピールする。社内資料の脚注には「端末焼損は想定内の正常動作」と淡々と書かれている。

しかし火災保険業界は冷や汗をかく。東京都消防庁は同日、「目覚ましとしては革新的だが、火種としても革新的だ」とコメントし、リチウムイオンバッテリーへの“早朝消防点検”を呼びかけた。一方、製品安全センターは「アプリは無形財であり、STマーク(発火おもちゃ類)の対象外」とし、炎上マーケティングが物理的にも法的にも隙間を突く現状を露呈した。

ユーザーの反応は真っ二つだ。新卒社員の伊庭凛さん(23)は「寝坊で上司に怒られるよりスマホが爆ぜた方が安い」と笑顔。一方、在宅勤務歴5年のフリーランサー小野塚惰眠さん(36)は「燃えるスマホを見ているうちに結局昼寝した」と語り、“燃焼慣れ”の可能性を示唆する。SNSでは〈#朝からファイヤ〉〈#燃えて起業〉など歓喜と悲鳴が入り交じるタグが燃え広がった。

技術面では、温度上昇アルゴリズムに独自の「睡眠深度予測AI」を採用。深い眠りほど発熱速度を上げ、浅い眠りならスマホが湯たんぽ程度で留まる配慮だという。開発責任者は「ユーザーを焦がすが、焦げ過ぎないギリギリを攻めた」と胸を張る。だが、海外メディアからは「それは配慮ではなく低温調理」と辛辣な論評が寄せられ、国際的な睡眠倫理の火種もくすぶる。

政府は「スマホ暖房器具」としての課税を検討。経産省幹部は「冬季の電力需要削減に資する」と期待感を示したが、国土交通省は「電車内での発火は想定外の暖房」と困惑。規制庁の担当者は「窓を開けられない新幹線車内で使われたら、車両ごとサウナになる」と指摘し、官公庁が珍しく炎を前に一致団結した。

それでも「時間厳守は燃える心」と説く企業広告は、働き方改革の疲れを燃料に快進撃を続ける。中古スマホ市場では“炭化モデル”がアートピースとして高値で転売され、環境団体は「再利用率は100%だがカーボンオフセットは0%」と皮肉。早起きと地球温暖化、どちらが先に鎮火するか。朝焼けより先にスマホが真っ赤になるこの国では、今日も効率の炎が揺らめいている。

関係者のコメント

  • カンフルモーニング社CEO「目覚ましは攻めの家電。燃えなきゃ嘘でしょう」
  • 東京都消防庁担当者「消火器を枕元に置けば安全率が上がる。たぶん」
  • バッテリーセルさん(擬人化)「私は本来穏やかな性格なんですけど…」
  • アナログ目覚時計「ベルを鳴らすだけで十分だと思うのは私だけか」
  • 火災保険アジャスター「保険料計算が溶けて蒸発しました」
  • 睡眠医学者「快眠ガイドラインに“耐火ケース推奨”を追加すべきか悩む」
  • スマホケースメーカー「耐火素材?在庫は石棺並みに重くなります」
  • 法律家AI「本アプリは“自害端末”として分類可能。前例は要焚書」
  • カーボンオフセット業者「燃えたら木を植えてください、朝の散歩にもなります」
  • 二度寝妖精「燃える布団も情緒がある。次は羽毛布団に着火を提案」

国際表現

俳句

  • 朝焼けに 先んじ燃ゆる 掌上火
  • 睡魔去り 煙と共に 夢散らす
  • 炎アラーム 布団は火山の マグマ湯
  • スヌーズ無し 灰となりたる 端末よ
  • 二度寝消す 火花と共に 効率礼賛
  • 熱き声 バイブを超えて 轟々と
  • 燃えスマホ 早起き信仰 灰の山
  • 起床率 百にして零 端末数
  • 朝の闇 赤く照らして さよならね
  • 熱の句で 眠りの国を 焼き払う

漢字

覚醒時刻熱上昇睡眠機焼覚悟必起

🔥📱⏰💤➡️🏃‍♂️💨

ボッ…ゴォォ…ジュッ、パチパチ、ジリジリッ!

SNS

  • #朝からファイヤ
  • #燃えるスマホで燃える仕事魂
  • #二度寝撲滅運動
  • #端末供養どこで
  • #火災保険更新しとけ
  • #起床率100パーセント端末寿命0
  • #溶けても買い替え需要創出
  • #スマホサウナ体験
  • #効率は燃料だ
  • #次は水冷布団アプリ希望