国民総ストレス検針日、数値は黒塗り
全国同時にスマートウォッチでストレス値を測定する「国民総検針日」が実施。しかし公表された統計は黒塗りだらけで、かえって国民の緊張度が急上昇。専門家は「隠蔽が最大のストレッサー」と指摘する。
全国同時にスマートウォッチでストレス値を測定する「国民総検針日」が8日朝、号令とともに挙行された。腕時計が一斉に震え、国民は脈拍と共に自尊心まで計測された気分だ。しかし昼過ぎに発表された統計は、主要数値が黒塗り。紙面の黒帯を前に、国民の緊張度は測定不能の域へと突入した。
政府広報は午前9時、「ストレスの見える化で健やかな社会」と題する動画を配信。だが再生3秒で無音、画面には一言「機密保持のため映像カット」。視聴者は、映像よりも自分の血圧計が派手に動いている事実に気づき、早くも実証実験の被験者に仕立てられた。
内閣府は「個人が特定される恐れ」を理由に、平均値・中央値・標準偏差まで黒塗りに。唯一公表されたのは「標本数:おおむね全員」という詩的表現のみ。透明性を約束した担当相は会見で黒マスクを着用し、「皆さまの安心のため黒くした」と語り、語るそばから司会者のストレス指数が急騰。表示が真っ赤になり会見は十秒で打ち切られた。
市井では「黒塗りグッズ」が早くも流行。文房具店には“政府公認マーカー(※公認と書いてあるだけ)”が山積みされ、自分の給与明細やラブレターを黒く塗りつぶす若者が続出。「見えないと安心する」とコメント。専門家は「それ、単なる現実逃避」と指摘したが、声も黒太線で消された。
一方、医療機関は緊急対応を迫られた。検針の瞬間、全国のストレス外来には「画面が真っ黒で心が真っ白」と訴える患者が殺到。大学病院は「ストレス隠蔽症候群」と命名し、暫定ガイドラインを公表。対策は「黒い部分を想像で塗り替える」「スマートウォッチを外して昼寝する」の二択と、大胆にして素朴だ。
野党は情報公開請求を試みたが、回答書には「請求者の心拍が高いため開示不可」とそっけない。国会では「公開すればストレスが下がるのか上がるのか」という討論が三日目に突入し、議員のスマートウォッチから警告音が鳴り続けている。警告を止める唯一の方法が「帰宅」だという皮肉も話題だ。
海外に目を向ければ、EUは昨年「OpenMood Day」を実施し、全データを虹色グラフで即時公開。結果、国民の平均ストレスが翌週12%減少した。某北欧紙は本紙の取材に「隠すくらいなら最初から測るな」と喝破。これに当局は「黒塗りも文化」と返答し、外交ルートでの“塗り合い”が勃発する可能性が浮上した。
かくして、測れば測るほど不透明になるという壮大な社会実験は初回から盛大に転倒した。次回の検針日は未定。「未定」と聞いてホッとする国民を、腕のデバイスは今日も黙って見つめている。
関係者のコメント
- 内閣府担当相「黒は新しいピンクです。心に優しい色合いでしょう?」
- スマートウォッチ(音声出力)「ピッ!数値は企業秘密です」
- 心理学者「データを隠すことでストレスを減らす研究は、これから始めます(泣)」
- 与党幹事長「黒塗り文書は読解力を鍛える国民運動だ」
- 文房具店店主「黒マーカーが飛ぶように売れ、私のストレス値だけ緑色です」
- 患者Aさん「画面が真っ黒で、私の未来も真っ黒に見えました」
- 野党議員「心拍を理由に開示拒否とは、書類の心臓が強すぎる」
- EU広報官「透明性とは、ガラス張りよりもガラス無しです」
- 国立統計局AI「******(全部黒塗りで発話不能)」
- コルチゾール分子(擬人化)「呼ばれて飛び出て、もう身体じゅうだよ!」
国際表現
俳句
- 黒帯に 心拍迷子 梅雨の朝
- 隠すほど 見たい気持ちが 脈を打つ
- 塗りつぶし 数字の墓場で 腕震う
- 国挙げて 測りし結果 闇を得る
- 時計鳴り 隠蔽深く 夏来たる
- 鳩時計 黒塗り吐いて 時告げず
- 透過せず ストレスだけが 透けて見え
- 黒バーの 向こうで踊る データゴースト
- 腕絡む 黒いリボンと 汗の帯
- 無表示で 安心したのに なぜ震え
漢字
全国同時腕計測心理圧数黒塗統計隠蔽緊張急上昇
絵
⌚️📉⬛️⬛️⬛️😰
擬
ピッ…ブー…ジリジリ…ザザッ…ギュッ…ドクンドクン…
SNS
- #黒塗りダイエット 数値も体重も消えた
- 腕が震えて通知も黒帯
- #ストレス検針日 って何を検針したの?
- 黒マーカー完売で草
- みんなの数値は見えないけど汗は見える
- 隠蔽が最大のメンタルトレーニング説
- #透明性ゼロチャレンジ
- EUの虹色グラフが羨ましい
- 腕時計外すと平和が来た
- 黒塗りより黒糖プリンを所望