夢バイト募集、給与は寝起きに消滅
スタートアップが『夢バイト』なる副業を発表。布団に入るだけで時給が発生するはずだが、目覚めると振込履歴は消えており、利用規約も幻と判明した。

スタートアップ「ナプレイス株式会社」は九日、眠るだけで報酬が得られると称する副業サービス「Dream Gig」を公表した。公式サイトには「あなたの布団がATMに」と躍るが、初日の利用者百三十七人は、目覚めるや銀行アプリの入金通知が跡形もなく蒸発したと証言する。
同社の仕組みは簡潔を装う。専用アプリを起動し睡眠を開始すると、枕元のスマートフォンがいびきを検知し、時給二千円換算でポイントを加算。そのまま口座へ自動振込――という夢のような仕様だ。しかし夜明けとともにログイン履歴自体が初期化され、利用規約も「該当ページは羊が食べました」と表示される。
「一晩で一万六千円稼いだはずだった」。会社員の宝来志保さん(27)は嘆く。証拠に残るのは目尻の皺と、アプリが最後に放った「おやすみ資本主義」という謎の通知のみ。問い合わせ窓口はAIチャットだが、返ってくるのは「それは良い夢でしたか?」の一点張りで、現実逃避力だけが高い。
法律家もまどろむ。霞が関ねむけ対策研究会の昼寝部長、木枕(こまくら)弁護士は「契約書が夢枕に立つパターンは民法の想定外」と指摘。「利用規約を読んだ覚えがないのは当然、そもそも現実に存在しなかった」として、損害賠償請求には“睡眠中の意思能力”という前代未聞の論点が立ちはだかる。
一方、投資家の目は覚めない。初回資金調達ラウンドで、実体のないキャッシュフローに時価総額八十億円が付いた。評価額の算定根拠を尋ねると「夢は測定不能ゆえ無限大」と胸を張るが、それは会計基準というより枕の高さに近い。
行政も布団を叩き始めた。消費者庁は「夜の市場は暗すぎる」として調査を示唆。厚労省は逆に「睡眠促進で国民の生産性向上」と前向きだが、財務省は「納税まで消えると困る」と眉を潜める。庁舎横で居眠りする担当官は「結局、我々も働かずに税を得たいだけ」と寝言を漏らした。
企業が示した再発防止策は「起きる前に換金せよ」という打開案。ユーザーが夢の中でATMに走る必要が生じ、睡眠の質は著しく低下する見込みだ。“寝て稼げる社会”は、皮肉にも国民を再び寝不足へと追い込んでいる。
関係者のコメント
- ナプレイス社長・早枕涼介「入金が消えたのではなく、あなたが目覚めただけです」
- 財務省布団課担当「睡眠税の導入を検討した瞬間、金額も課も夢と消えました」
- 行動経済学者・白河夢彦「『働かずに稼ぎたい』という集団幻想を貨幣化した点は革新的」
- 枕(擬人化)「こんな重責、羽毛では受け止めきれない」
- スマホ充電器「夜通し働いたが賃金ゼロは私も同じ」
- 利用規約PDF「私は最初から存在しないので法的責任も無」
- 羊カウンターアプリ「数えられるのは羊、数えられないのは報酬」
- 投資家AIボット「収益予測? REM睡眠の長さで回帰分析中だ」
- 消費者庁担当犬(庁舎の飼い犬)「ワンワン!(訳: 足跡が消えてる!)」
- 夜明けの小鳥「チュン…(訳: 早く働け)」
国際表現
俳句
- 夢稼ぎ 朝靄の中 振込無
- 布団なる 資本の雲は 霧散せり
- 銀行アプリ 涙でスワイプ 残高零
- 夜の市 価値は羊の 背に揺れて
- 規約なき 眠り契約 無法野
- 投資家よ 枕に札は 詰まらずに
- 睡眠税 朝日に溶ける 影法師
- 夢工場 入口は枕 出口なし
- 金融庁 まどろみながら 監視する
- 消えゆくは レムと利息と 世の理
漢字
夢副業布団入時給発生目覚振込消幻規約
絵
💤🛏️➡️💸📲❌🌅
擬
スヤァ…ピコーン…ジャラジャラ…フッ…シュルシュル…シーン…
SNS
- #DreamGigで寝落ち投資
- 入金幻覚を共有したい
- 寝ながら労基署コース
- #布団ATM爆誕
- 起きたら残高ゼロ芸
- 夢こそが最高の担保
- 利用規約どこいった
- 睡眠中に脱税疑惑!?
- 投資家も熟睡中
- 次は昼寝IPOか