国会が荒し雇用、公式コメ担当に──「罵倒枠」新設で議事録は早くも黒焦げ

国会は「リアル世論の反映」として、荒し経験3年以上のSNSユーザーを公式コメンテーターに採用すると発表。採用条件は「一日100回罵倒できる体力」などで、議事録はすでに炎上状態。

2025-07-23

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「本会議場で最初に火を点けるのは我々だ」。新設された「国民情念係」採用説明会で、面接官を務める与党ベテラン議員はそう胸を張った。応募資格は「通報歴50件以上」「ブロック率90％超」。面接では五七五で相手を煽る即興試験も課され、合格者は議場の傍聴席から議員発言にリアルタイムでヤジを投下する。予算額は静穏維持費から「気晴らし枠」へ振替。財政法は今日も沈黙した。

導入の決め手は「市民参加型デジタル民主主義」の推進だという。政務調査会は「オンライン炎上は現代版ローマのフォロワム」と位置づけ、「怒号もまた主権者の呼気」と結論付けた。議場では既に試験運用が始まり、議員の質疑に合わせてスクリーンに罵倒コメントが流れる。発言回数ランキング最下位の野党新人は「発言よりコメントの方が早く議事録になる」と嘆き、マイクを置いてスマホを握った。

採用枠は初年度20人。うち半数は「多アカ運用」で本人比5倍に増える想定だ。人事院は「公務員倫理規定はキーボード叩きに対応していない」と白旗を掲げ、文科省は速やかに「省エネ罵倒指針」を策定中。国会図書館はコメントの保存義務を負い、サーバー室が熱暴走。冷却水確保のため、隣接する皇居のお堀からポンプ車が出動したとの未確認情報も飛び交う。

一方、市民からは歓迎と悲鳴が交錯する。支持者は「自分の罵倒が国の公式記録に刻まれるとは夢」と興奮。反対派は「納税で他人の悪口を養う新手の自虐」と眉をひそめる。世論調査会社は電話が炎上し、オペレーターが「なるほど、お気持ちは分かります」を連呼する録音テープに切り替えた。なお、そのテープにも3万件の罵倒が殺到して自動文字起こしAIが泣いている。

海外でも波紋は広がる。北欧の静寂議会は「サウナより熱い討論が羨ましい」とコメントし、南米某国は「自国の荒し輸出で外貨獲得」と真顔で検討。国連広報官は「世界平和とコメント欄は両立しないが、試みとして興味深い」と語り、同席した通訳が「私的感想です」と三度念押しした。為替市場では“罵倒指数”が新たな先物商品として上場予定だ。

専門家の評価も割れる。心理学者は「怒りの可視化は社会の浄化」と肯定する一方、言語学者は「語彙の貧困が加速」と警鐘を鳴らす。AI倫理学者は「毒舌データが学習済モデルに混入し、冷蔵庫が飼い主を煽る未来」を懸念。だが公共放送は視聴率急上昇で「国会チャンネル深夜枠・罵倒解説付き」を検討中だ。眠れぬ国民は深夜のヤジで子守歌代わりに溜飲を下げるらしい。

制度の行き先は「民意の爆笑か幻滅か」。議事堂前のイチョウ並木には早くも「誰でも炎上議員」立候補ポスターが無許可貼付され、警備員が剥がすそばから貼られ続ける無限スクロール状態。金言を振りまくか、それともただの火種か。来年度予算に「消火器増設費」がひっそり計上されたことだけが、今のところ唯一の沈着なリアルポリティクスである。