国会、法案の重さをベンチプレスで決定。「国民の声」は重すぎて誰も持ち上げられず

国会議事堂の地下で、法案の「重要度」を文字通り重さで測る新プロセスが導入された。各議員は法案をプレートとしてバーベルに装着し、持ち上げた重量がそのまま支持率となる。先日の審議では「議員報酬３倍法案」が羽のように軽く満場一致で可決された一方、「国民の声」と名付けられた陳情書セットは重すぎて床から動かなかったという。

2025-10-04

翻訳: EN

社会実験室

「議論の空転」「審議拒否」といった長年の課題を解決すべく、与野党の筋トレ愛好議員連盟が提唱した「フィジカル国会改革」が、ついにそのベールを脱いだ。国会地下に新設された「立法ジム」では、ヤジの代わりにプロテインのシェイク音が響き、採決はバーベルを胸まで下ろす「タッチ・アンド・ゴー」方式が採用される。ルールは単純明快。法案を持ち上げられれば可決、持ち上げられなければ否決だ。

先日行われた記念すべき第一回「立法ウェイトリフティング」では、複数の法案が審議の俎上、いや、ベンチ台に乗せられた。注目された「議員報酬３倍法案」は、特殊なカーボン素材でできた１キロのプレート。多くの議員がウォーミングアップがてら軽々とクリアし、満場一致で可決。あるベテラン議員は「国民への責任の重さを感じながら、などと言う必要がなくなり、実に効率的だ」と息も切らさず語った。

対照的に、議場の片隅でホコリをかぶっていたのが「国民の声」と名付けられた巨大なプレートセットだ。これは全国から寄せられた陳情書、保育園増設を求める署名、年金問題に関する怒りの手紙など、計８千万件を特殊合金で圧縮鋳造した代物。推定重量は計測不能とされ、フォークリフトでも歯が立たなかったという。

与党の政策責任者は「国民の皆様の思いは、物理的にも重く受け止めている。だからこそ、軽々しく持ち上げることはできない」と神妙な面持ちで説明。一方の野党第一党の幹部は「そもそも、この重量設定は政府による議論の放棄だ。我々が政権を取れば、もっと持ち上げやすい国民の声を厳選する」と力強く宣言し、周囲から喝采を浴びた。

この新たな試みについて、東都大学政治学部の筋肉博士こと山本教授は「民意の重さを物理的に可視化した点で画期的。デッドリフト民主主義の新たな地平を切り開いた」と高く評価。しかし、同氏の研究室からは毎夜「議員の筋肥大と政策実現能力の相関性」を検証するうなり声が聞こえてくるとの噂も絶えない。

政府は今後、外交交渉においてもこの「筋力外交」を推進する方針で、すでに各国首脳にプロテインとトレーニングメニューを送付したという。法案の重み、国民の声の重み。我が国の政治家たちがその本当の「重さ」を理解し、肩に担ぐ日は来るのだろうか。議事堂の床が抜けるのが先か、それとも夜明けが来るのが先か。国民は固唾をのんで、いや、ため息をついて見守っている。

関係者のコメント

与党幹部「国民の皆様の思いは重々承知している。物理的にな。腰を据えて、とはこういうことだ」
野党の若手議員「バーベルの前に、まず政府の重い腰を上げさせるべきだ！」
国会地下ジムのバーベル「最近、片側だけ軽いプレートばかりでバランスが悪い。軸がぶれている」
「国民の声」プレート「……（重すぎて声も出ない）」
議事堂の床「そろそろ限界です。ミシミシいってる」
政治評論家・田崎氏「筋肉こそが新しい『数』の力。これからは党の平均ベンチプレス重量が議席数を左右する」
パーソナルトレーナー「議員の皆さん、フォームがなってない。それじゃ国民の支持（サポート）は得られませんよ」
海外メディア記者「This is the most honest parliament in the world! You can literally see what they care about.」
納税者（匿名）「我々の税金が、プロテイン代に消えている…？」
筋肉「政治利用はやめていただきたい」